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break the winter glass. & 単行本始動、ジクレーお披露目!

冬の天(そら)の硝子に、ぴきぴきと罅(ヒビ)を巡らせる桜の枝。
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こちらは、もう自分とこのガラスは割り終えたみたい。
今や自らが大”ブレイク”中、まっさかりの白梅の木。
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いろいろなことが始動する春ですね、私のほうも、新しいことが始まってます!

まずは、いよいよ単行本の準備が始動!!
今、やっている作業は単行本の巻頭、二色ページの版下作りです。
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見えますでしょうか?原稿に厚めのトレーシングペーパーを重ね、
トーンを貼ったり、ベタを塗ったりして色版をつくるやり方です。
デジタル全盛の今どき、極めてアナログな手法ではありますが・・・
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はい、鳩舎登場!(笑)ドーン。

どこを色版にして、どこをベタ(100%)にして・・・と仕上がり具合を予想しながら
版をつくるのは、ちぃっと面倒な作業ではありますが
この二色指定の印刷の味わいが自分はいつも楽しみなので、
今回はどんな色にしようかなぁと考えながらガリガリとトレペに貼ったトーンをカッターで削ります。

それにしても、プリントゴッコみたいに私の仕事に必須のものが
これ以上廃盤にならないでほしい・・・。(泣)スクリーントーンも、今の調子だと
いずれこの世から消えてしまいそう。昔は、手で描いた絵をわざわざ「アナログ絵」とは、
呼ばなかったものね。

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さてさて・・・そして!
ついに、初のおしらせを本日ここで!

昨年の秋に制作を始め、以来数ヶ月を要してようやく完成いたしました
あたらしい鳩舎のラインナップ、ジクレープリントによる複製画です。
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まずは、画集リテレールの中から、「星の王子様 Le Petit Prince.」。
以前、展覧会のときに人気の高かったこの絵を選んで複製画にしてみました。
いかがでしょう?二枚並べた上の画像の、向かって左がジクレー、右奥が原画です。
・・・・色の再現率が、ほんとうにすごいです。
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紙は、キクラシャ340gという大変しっかりした厚い紙を使用しており、
物質的には原画よりも立派に見えるくらいです・・・。(汗)と、ここでジクレーについての
簡単なご説明をちょこっと。ジクレー(GICLEE)は、フランス語に由来し、
『インクを吹き付ける』という意味があります。
超高密度デジタル出力の総称としても使われます。
耐光年数が75~80年といわれ、現在リトグラフ、シルクスクリーンに次いで
最も原画に近いプリントが制作できる第三の技法として認知されています。

・・・当初、知識がなかったので、
デジタルで出力する複製画ならば、スキャンして取り込んで、
専用のプリンターで印刷すればよいのだからそれ程手間はかからないのでは・・・と
思っていましたが、それは大きな認識不足でした。
デジタルを駆使して、綿密な質感表現、色調の摺り合わせを幾度も重ねた後にようやく完成となります。
色校のために幾度も工房に足を運び、気になる箇所の色調の変更をお願いして、
それで当初思っていたよりも多くの時間を要しました。
それこそ、下↓の絵のカボチャのオーナメントのオレンジの鮮やかさに至るまで
お直しをお願いさせていただき・・・。
(ちなみに、今回制作した二点のジクレーには、両方とも工房の職人さんの手による
金パールの彩色が施されており、キラキラと反射して、原画にはない彩りが・・・。)


もう一枚はこちら、季刊「エス」誌の連載に掲載された
「恐るべき子供達 Les Enfants Terribles 」のイラストをジクレーの複製画に
使用させていただくことをご許可いただき、制作することができました。
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いやー・・・・ほんとに綺麗、いや、美麗です・・・。

が、デジカメで写真を撮ってみて困りました。
ワタシが撮影した画像には、ジクレーのほうのカーテンやセーターの色の
「緑色」が肉眼で見るとおりに反映されていないです。恐らく、ジクレー用のインクの分子構造や
光の反射の仕方?によるものなのでしょうか。下は、向かって右奥が不透明水彩で描いた原画です。
原画のカーテンやセーターのほうがグリーンが濃く見えますが、
私が肉眼で見る限り、ジクレーのほうも右奥の原画のグリーンと遜色ないくらいというか、
若干鮮やかに感じるくらいに再現されているのですが・・・。(困)
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・・・うーーん、これはやはり現物を直に見ていただきたい・・・と思っておりましたところ、
なんと、渡りに舟とはまさにこの事!のようなお話がもたらされ・・・。
しかし、こちらは正式な決定の後ということで、インフォメーションはしばしお待ちを!
(うまくいきましたら、近々に新作のジクレーを展示させていただくことができる
初お披露目の機会となりそうですが、どうなるでしょう?)
ゆくゆくは、方々での展示の機会もあることと思い、準備はぬかりなくとばかりに
急きょ額装オーダー中。(笑)
お洒落して、お披露目の準備をしてお待ちいたしております~。

販売も、あわせまして準備をこちらも早く、と思っております。
かなり慌ただしくなってまいりました~。これだけ大きな紙のものを
シートで梱包、発送するのはテクニックが要りそうですね。(汗)
また、準備が整い次第、追ってご案内をさせていただきます!
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啓蟄の日に、むるむるといろんな胎動が聞こえてきそうな今月です~。
どうぞ、皆様も待ちに待った春の到来、最高のかたちでお迎えできますように・・・。












by junekite | 2013-03-05 16:45 | 日々帖
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